本記事は、2020年1月31日に再更新いたしました。

俗にいう「ものもらい」は2種類あり、その一つである麦粒腫(ばくりゅうしゅ)についてはコチラ(リンク)でお伝えしました。今回解説する霰粒腫(さんりゅうしゅ)がもう一つの「ものもらい」なのですが、こちらも麦粒腫同様、地方によっては「めいぼ」、「めばちこ」、「めばち」、「めっぱち」、「めっぱ」などと呼ばれています。一見すると似たような外見であるため、同じ目の病気として混同されています。しかし、まったく異なる病気です。麦粒腫は皮膚に住み着いている黄色ブドウ球菌などによる感染症ですが、霰粒腫は感染が直接の原因ではなくマイボーム腺の閉塞が直接の原因です。今回はこの霰粒腫について詳しく紹介します。これによって、2つある「ものもらい」がどう違うか、どのように対処すべきかが、よくわかるはずです。

感染ではなく目詰まり

まぶたの深い部分にあって、涙の過度な蒸発を防ぐために油を分泌するマイボーム腺の出口が詰まって、慢性的な炎症が起き、肉芽腫(しこり)ができる病気です。麦粒腫と異なり、基本的には細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。もちろん常在菌による慢性的な炎症がマイボーム腺が詰まる原因になることはあります。放っておいても、しこりは自然に破れて、内容物は流れ出ることもあります。ただ再発することが多いのが特徴です。

【霰粒腫】

自然治癒もあるが大半は再発を繰り返す

まぶたの中に小豆大のコロコロしたしこりができて、押さえると触れることができます。しこりの部分の腫れはありますが、通常は痛みも赤みもありません。放置するとしこりは大きくなり、まぶたの腫れも次第に強くなり、赤みも出てきます。さらに進むとしこりが破れ、内容物がまぶたの外側や内側に出て、しこりが小さくなることがあります。このとき麦粒腫との決定的な違いが現れます。麦粒腫は内容物が出ると、自然に治っていきますが、霰粒腫では内容物が外に出たからといって治るわけではありません。相変わらずマイボーム腺は詰まっていますので、また分泌物が溜まって破れて出るを繰り返すことがあります。このようにこじれると皮膚が薄くなったり眼瞼結膜の瘢痕化が強くなったりしますので、こじれる前に治療が必要です。一方で、霰粒腫はときとして目詰まりとは別に、細菌感染を引き起こすこともあります。すると急性炎症により麦粒腫同様の症状が加わります。すなわち目の充血や痛みを伴う局部の腫れです。これを急性霰粒腫と呼びます。霰粒腫は通常はそんなに痛くありませんが、この急性霰粒腫の場合、比較的痛みが強いという特徴があります。

高齢者ではがんと区別する検査も

視診や触診でほぼ診断がつきます。ただ50代以降で再発を繰り返す場合は、高齢者に多い皮膚がんとの識別のために、組織を採取しての病理検査が必要になります。

点眼薬や軟膏で治らない場合は手術

しこりが小さければ自然に消失することもありますが、消失しない場合、あるいはしこりが大きい場合は、炎症を止めるステロイド薬を点眼したり、ステロイド軟膏を塗布したりします。まぶたに注射をすることもあります。通常はこれで治まるのですが、大半は一時的で数カ月後には再発するというパターンが多いです。再発を繰り返す場合は、眼瞼結膜または皮膚にメスを入れて内容物をかき出すか被膜ごと摘出する手術が勧められます。局所麻酔でできる短時間の手術です。手術によって、しこりをしっかりと取り除くことで、再発の可能性を低くすることができます。霰粒腫の根本療法は手術ということになります。細菌感染による急性霰粒腫では、抗生剤の点眼や内服、消炎鎮痛剤による薬物療法で炎症を鎮めます。炎症が治まった後、手術による治療を行います。

板谷理事長のひとことアドバイス

経験的に髪の毛をシャンプーしないと雑菌がはびこりくさくなります。同じようにまぶたのまつげの付け根付近も雑菌がはびこりやすく汚れやすいのです。マイボーム腺は不潔になると詰まりやすくなります。目にコンタクトレンズやアイメイクをする時代はなおさらです。霰粒腫になったことのある方は、マイボーム腺のケアをしてみませんか?

まとめ

  • 霰粒腫は、マイボーム腺が詰まって炎症が起こり分泌物が溜まっていく病気で、しこりができます
  • 霰粒腫は自然に治ったかに見えても、再発しやすい病気です
  • 霰粒腫は乳幼児から高齢者まであらゆる年齢層に発症する病気ですが、高齢者で再発を繰り返す場合は皮膚がんなども疑われますので要注意です
  • 治療は炎症を抑えてから、手術による摘出を行います

執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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