俗にいう「ものもらい」は、地方によって「めいぼ」、「めばちこ」、「めばち」、「めっぱち」、「めっぱ」などの呼称があります。私たちに身近なこの病気について、ロート製薬は全国調査をして、「呼び名分布日本地図」をつくりホームページで掲載しています。私の故郷ではなんと呼んでいたっけ?などと地図をクリックするとたちどころに出てきて、思わず郷愁を感じたりします。「ものもらい」は、かつて日本各地に、この病気にかかったらよそから米などをめぐんでもらって食べると治る、といった類の迷信があったことによるようです。
実はものもらいには「麦粒腫」と「霰粒腫」の2種類があり、原因や対処法が違うということをご存知ですか?一見すると似たような経過をたどることから、同じ目の病気として混同されていますが全く異なります。霰粒腫については、コチラ(リンク)をご覧ください。ここでは細菌が感染して起こる「麦粒腫」についてお伝えします。

人体に住み着いている細菌が原因

ホコリの中など生活環境のどこにでもいる種類の細菌が、目の縁に感染して起こります。細菌は主に黄色ブドウ球菌で、食物の中に入ると食中毒の原因にもなりますが、実は人体にも住み着いて、たとえば皮膚などにも存在しており(常時存在することから常在菌といいます)、にきびなど、できものの原因ともなります。健康な方の皮膚でも20%ほどから、この黄色ブドウ球菌が見つかるといわれています。常在菌は普段はなんの悪さもしないのですが、病気にかかる、あるいはストレスがたまるなどして、免疫力が低下したときに体のどこかに感染をして繁殖し、さまざまな感染症を引き起こすとされています。麦粒腫では、まぶたの外側の汗腺や、まつげの毛根に感染した場合を外麦粒腫、まぶたの内側にあって涙の蒸発を防ぐ脂を分泌しているマイボーム腺へ感染した場合を内麦粒腫と呼びます。どちらかによって、病気がどのように経過するか、おおよそ予測がつくこともあります。頻度としては外麦粒腫のほうが多いでしょう。

【麦粒腫】

通常は2~4日の短期間で回復に向かう

初めはまぶたの一部に赤みが出現し、軽度の痛みや痒みを生じます。一夜もしくは数日で腫れや痛みが強くなり、目やにが出たり白目が赤くなったりします。腫れた部分の中心近くには、しばしば膿を持った黄色い小さな点が見つかります。炎症が強くなってくると痛みも強くなり、まぶた全体に腫れが広がります。外麦粒腫に比べて内麦粒腫では痛みやその他の症状が強く現れます。ときに炎症がひどく発熱や悪寒を伴うことがあります。通常、麦粒腫は発症から2~4日後には膿を持った部分が自然に破裂して膿が排出されます。膿が出てしまえば、その後、症状は回復に向かいます。症状が進んでも膿がなかなか出ない場合は、1日に2~3回、10分ほど温湿布を当て温めることにより、麦粒腫に膿がたまり、たまっている袋が破れて自然に膿が出ることもあります。

医療機関では抗菌薬が処方される

積極的な対応は何もせず、経過を見守っていると、自然に治癒することが多いのですが、症状の強さによって、あるいは心配になって医療機関に行く方も多く、その場合、症状の強さ、病態によって、原因となっている細菌に対する抗菌剤を、点眼、塗り薬、内服のいずれか、あるいは組み合わせて投与します。治療期間中はコンタクトレンズを使わないようにします。化膿が進んでいる場合は切開して膿を出すこともあります。とくに内麦粒腫は膿を持っている袋が自然に破れることがめったにないため、外科的に膿を排出しなければならないケースがよくあります。

日常生活では清潔を保つ

コンタクトレンズを使用している方は、レンズのクリーニングを決められた方法および頻度で行い清潔に保ちます。レンズを常にクリーンな状態に維持し、雑菌が付かないようにしましょう。洗浄するときは、汚れをしっかり落として、潜んでいる細菌を落とすようにしてください。また、レンズをつけたまま眠ることも避けていただく必要があります。子どもはよく目をこするので、なるべくこすらないように親や周囲の大人が注意をしましょう。仮に目をこすっても麦粒腫にならないようにするためには、外出後の手洗いを習慣にするなどして、普段から手指の清潔を保つようにさせるとよいでしょう。また、洗顔のときのフェースタオルは常に清潔なものを使いましょう。女性では化粧方法で注意点があります。まつげの根元は細菌が住み着きやすい場所で、たとえばアイラインを常時濃くひくと、細菌が住み着く温床となりやすくなります。メイクを落とすときは、アイラインやマスカラなどをしっかりと落としてください。蒸しタオルなどを利用するのもよいでしょう。ごしごしこすらずやさしく落とすようにしましょう。

板谷院長のひとことアドバイス

細菌が感染しないように、常に清潔さを心がけることが大切です。特にコンタクトを使用している方や、毎日アイメイクをしている女性などは、注意が必要です。前述したように、レンズの正しいクリーニングや、メイク落としをしっかり行いましょう。

まとめ

  • 麦粒腫は、ホコリの中など生活環境のどこにでもいる種類の細菌が、目の縁に感染して起こります。
  • まぶたの外側の汗腺やまつげの毛根に感染した場合を「外麦粒腫」、まぶたの内側にあるマイボーム腺へ感染した場合を「内麦粒腫」と呼びます。
  • 積極的な治療はせず、経過を見守っていると自然に治癒することが多いです。

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執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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