本記事は、2020年1月28日に再更新いたしました。
目をどこかにぶつけたり、こすったりしたわけでもないのに、鏡で顔を見たとき、赤インクをこぼしたように白目がべったりと赤くなっていて不安になった・・・という経験をしたことはないでしょうか。
これは、目の結膜と呼ばれる部分の毛細血管が破れて出血したことによるもので、「結膜下出血」と呼ばれます。
たいていの場合、放っておけば数日〜1ヶ月程度で治るので心配はいりませんが、結膜下出血を繰り返す場合には、生活習慣病など全身性の疾患が背景に潜んでいる可能性があるので受診が必要です。
結膜下出血が生じる原因とその対処法についてご紹介します。
目次
白目が赤くなる要因は2種類
「充血」と「出血」がある
白目が赤くなる要因には2種類あります。
ひとつは血管の充血です。血管が拡張することで白目が赤く見えます。
もうひとつは結膜の血管が破れて起こる出血です。「結膜下出血」と呼ばれます。結膜とは、白目の表面から、まぶたの裏側までをおおっている、薄い透明な膜です。結膜下出血では、充血の場合と異なり、血管は見えません。結膜の下に血液が拡がっているため、まるで赤インクをこぼしたように、白目が広範囲にべったりと赤く見えます。
結膜の毛細血管が破れて結膜下に血がたまる
白目の部分は「強膜」という強く白い膜の上に、透明な「結膜」という膜がおおって成り立っています。 結膜には多くの毛細血管が走っており、この結膜の毛細血管が破れて結膜下に血がたまったものを結膜下出血といいます。
結膜下出血では自覚症状がないことが多く、鏡を見てあまりの赤さに驚いたり、周りの方に指摘されたりして出血していることに気づくことがほとんどです。
どうして結膜下出血が起こるのか、そのメカニズムははっきりとはわかっていませんが、結膜は、強膜の上をゆるく覆っているので、まばたきをする際に結膜が引っ張られて出血が起こるのではないか、という説もあります。
結膜下出血を起こす原因(きっかけ)としては、くしゃみや咳、お酒の飲み過ぎ、重いものを持つ、月経、生活習慣病などが挙げられます。しかし、どうして起こったのか原因がわからないことがほとんどです。
症状は10日〜1ヶ月ほどで消える
結膜下出血は、皮膚を打った際にできる「皮下出血」と同じと考えてもらって構いません。早ければ10日程度、おそくとも1カ月ほどで出血は徐々に吸収され、消えていきますので放っておいても大丈夫です。
白目の出血を繰り返す場合は
動脈硬化などが潜んでいるサインかも
ほとんどの場合は、放っておけば症状が治まりますが、結膜下出血を何度も繰り返す場合には注意が必要です。すぐに毛細血管が切れるということは、動脈硬化や高血圧が進んでいるサインかもしれないからです。白目の出血を繰り返す場合は、生活習慣病が潜んでいないか内科などで必ず診てもらいましょう。
出血が増えて行く場合には、
血液の病気を疑う必要が・・・
まれにですが、出血が治まらず出血量が増えていく場合があります。白血病や貧血など血液の病気が潜んでいる場合があるので内科、あるいは血液内科を受診してください。
また脳梗塞や心筋梗塞、不整脈の治療などで抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を使用している場合にも、出血を繰り返すことがあります。
板谷理事長のひとことアドバイス
結膜下出血は見た目がびっくりするため、心配されますが、目に悪いことは一切無く、ほとんどの場合、10日程度、おそくとも1カ月ほどで治ります。しかし、同じ症状を何度も繰り返している場合は、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病や血液疾患の疑いがあり、内科受診をお勧めします。
まとめ
- 白目が赤くなるものには、「充血性」と「出血性」があります
- 「出血」によるものは、ほとんどの場合、結膜下出血です
- 白目部分の毛細血管が切れることで結膜の下に血液が貯まり、べったりと赤く見えます
- たいていの場合は、放置しておいても10日〜1カ月ほどで消失しますので心配はいりません(治療の必要はありません)
- 白目の出血を繰り返す場合は生活習慣病(動脈硬化)が隠れているかもしれませので、内科を受診してください
- 何日経過しても出血が治まらず出血量が増える場合には、白血病や貧血などの血液の病気が潜んでいるケースもあるので内科や血液内科を受診してください
執筆者プロフィール
医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀
京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。
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