作業をしていて何かの弾みで目にゴミやまつげ、金属片、石灰などの異物が入ってしまったりすることは多いかもしれません。また、肌をなめらかにするためのスクラブ(マイクロプラスチックなどが入った洗顔料)が目に入ってしまった経験がある方は多いのではないでしょうか。
目の表面(黒目の角膜)は知覚神経がとても多く、小さなものが入っただけで目が開けていられないほど痛い思いをします。

目にゴミが入ってしまったときは、どのように対処したらいいのか詳しくご紹介します。

目にものが入ると強い痛みが生じる理由

黒目に何かが少しでも触れると、我慢できないほどの痛みを感じます。一方、白目の場合は、異物が触れてもそこまで痛みを感じません。
こうした違いがあるのは、白目を覆っている強膜・結膜に比べて、黒目を覆っている角膜には、はるかに高密度に知覚神経が張り巡らされているからです。

角膜はものを見る際に非常に重要な役目を果たしており、しかも外界に対して剥き出しの状態なので、痛みを感じやすくすることで角膜を守っているのだと考えられます。体の防御機能として、大切な目を守るためにたくさんの神経が走っているのかもしれません。一方の白目は、ものを見る際にはあまり大きな役目を果たしていないので、外部からの侵襲を受けても痛みを感じにくくなっています。
“目にものが入った”というときでも、異物が接する部分が黒目か白目かで大きく症状が異なるところに、人体の面白さが感じられます。

角膜は透明な組織ですが、実は神経を張り巡らされており、とても敏感です

目にものが入ったときの異物感の正体とは

目がゴロゴロするといった異物感に悩まされても、実際には目に異物が入っていない、ということもあります。これはどういうことでしょうか?

あまり知られていませんが、まぶたを閉じると眼球は上の方へ回転します(上転するといいます)。このとき、まぶたの裏側に異物があると、角膜とこすれて異物感を感じます。これは本当に異物がある場合ですが、角膜に傷があると、目を閉じるたびに眼球が上の方へ回転するので、まぶたの内側(結膜)とこすれて、まるで異物が当たっているかのように刺激されます。これが、異物がないのに異物感で不快になる理由です。

角膜には自然治癒力がある!

目に異物が入ったりして、角膜が傷ついてしまったけど、ちゃんと治るのかな、と心配される方もいるかもしれません。
角膜はおよそ0.5mmの厚さがあり、常に新しい細胞が生み出され、とても活発に新陳代謝を繰り返しています。そのため角膜にキズがついてしまっても、自然治癒力により修復されます。

しかし損傷の仕方によっては自然治癒しない場合もあります。目にものが刺さったり、ものがぶつかってけがをした場合の対処法についてはこちらの記事(目にものをぶつけてしまったり、鋭利なものが刺さってしまったときの対処法)を参考にしてください。
今回は、目にゴミが入ってしまった場合の対処法についてご紹介します。ゴミの種類によっては重い障害につながることもありますので、ご注意ください。

目にものが入ってしまったときの対処法

ゴミやまつげ、スクラブ剤が入ったときは、涙や清潔な水で洗い流す

風の強い日などで目にゴミが入ってしまったり、いつの間にかまつげがまぶたの裏に入り込んでしまうことがあります。そんなときは静かに何度か瞬きをして、涙とともに異物を流すようにしてください。あるいは洗面器に水道水を張り、水に顔をつけてまぶたをパチパチと開け閉めして洗い流すようにしましょう。

痛みで目をこすってしまうと、角膜の表面にキズがついてしまうだけでなく、まぶたの裏側の溝(瞼板下溝;けんばんかこう)にゴミが入りこんでしまうことにもなりかねません。もしまぶたの裏側にゴミが張り付いてしまった場合には、まぶたを軽く裏返して清潔なガーゼなどでぬぐうか、それでも取れなければ眼科を受診するようにしましょう。

また洗顔料のスクラブ剤は、製品によってさまざまな成分が入っているため、時にまぶたを裏返しても見つけにくいことがあります。水道水で洗い流しても異物感が続くような場合は、自分で異物を見つけようとせず、すぐに眼科を受診してください。
眼科では、生理食塩水などで異物を洗い流したり、ピンセットや綿棒などで異物を取り除くなどの処置をします。

小さな金属片や鉄粉などが目に入ってしまったときは、すぐに眼科へ

金属片や鉄粉などが目に入ったまま(付着したまま)放置しておくと、涙に含まれる塩分と鉄粉が反応してサビが生じます。そのサビが角膜に浸透すると、異物を中心に角膜が茶色く変色したり、白目の充血が続いたりします。またサビが広がると角膜が濁ってしまい、不正乱視や視力の低下を招いたりします。
目に金属片や鉄粉が付着したら、まずは水道水で洗い流し、なるべく早めに眼科を受診してください。

また黒目(角膜)以外の白目(強膜・結膜)などに金属片などが付着しても、痛みを感じにくいため放置してしまうケースが多々見られます。たとえば金属加工などの作業をしていて金属片が目に入ったものの、あまり症状がないため軽く考えて放っておいたら、白目部分の奥深くまで金属片が入りこんでいた、などです。自覚症状がなくても目に何かが入ったなと感じた場合は、必ず眼科で診察を受けるようにしてください。

眼科では、診察の後、痛みが強い場合は点眼麻酔をしてから、ピンセットや綿棒などを使って異物を取り除きます。もし角膜に刺さっている場合には、針や角膜ドリルなどの器具を使い、顕微鏡下で取り除きます。サビが出ていた場合もドリルなどの器具を使って削り取ります。その後、感染予防の点眼薬などを使用します。

石灰が目に入ってしまったときは、10〜15分程度きれいな水で洗い流して眼科へ

黒板にチョークでものを書いたり、石灰の粉でグランドのライン引きをしたり、日常のなかで石灰に触れるシーンは案外多いかもしれません。

石灰はアルカリ性の物質で、アルカリは目にとって非常に危険です。目に入ると強い浸透力で角膜を腐食させ、放置すると眼球内に炎症を起こすことがあります。目に薬品が入ってしまった場合は化学熱傷として、こちらの記事(目にやけどを負ったときの対処法)でご説明していますので、ぜひ参考にしてください。

石灰が目に入ってしまった場合は、できるだけ早く水道水で十分に洗い流すことが必要です。15〜20分間は洗ってください。その後、すぐに眼科を受診することが大切です。眼科では生理食塩水で洗浄したあと、症状に応じて点眼薬を投与します。
受診をせずに放置をしておくと、場合によっては石灰が角膜や眼球に浸透・腐食することで失明に至ることがあるので注意が必要です。

アルカリ性物質が目に入ったときは、とにかく流水で目を洗い流し続けましょう

目に異物が入ったときに起きる代表的な2つの障害・合併症

目にゴミが入った場合、ちょっと痛いだけだからと放置してしまうと、なかなか治らずに合併症を引き起こして症状が重くなってしまうこともあります。特に、異物に付着した細菌に感染して炎症が起きると、角膜潰瘍を引き起こして視力低下を招くこともありますので注意しましょう。

角膜外傷

黒目表面に傷ができることを角膜外傷といいます。角膜はとても敏感で、傷を負うと非常に強い痛みを伴い、涙も流れます。点眼薬などで様子を見ることで、早ければ2〜3日で症状は軽快することが多くなっています。
ただし、異物が入ったからと目をこすりすぎたり、異物が入ったまま放置するなどして傷が広がったり深くなってしまうと、角膜の上部組織が剥がれてしまう角膜上皮剥離などの症状に進行してしまいます。目の痛みや異物感が続くようでしたらすぐに眼科を受診しましょう。

感染性角膜炎

細菌により角膜に炎症が起こるもので、目にゴミなど異物が入ったりして、角膜にキズがついたときなどに発症しやすくなります。抗菌点眼薬や抗菌内服薬により治療を行います。治療期間は症状により異なりますが、完治まで数カ月かかることもあるため、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
金属片や鉄粉は、酸化してサビが出るのでそれが殺菌作用を持つのか、感染性角膜炎になりにくい面がありますが、治療で異物を取り除いた後にその傷から細菌が入り込んだりします。治療をすると痛みが引くので、そのまま通院をやめてしまう方もいますが、必ず医師の指示に従うようにしてください。

感染性角膜炎の目

板谷院長のひとことアドバイス

目にゴミが入った場合、何が入ったかが重要です。アルカリ性物質が入ったら、とにかく水で洗い続けるようにしてください。

まとめ

  • ゴミなどが目に入ってしまったときは、目をこすらないようにして涙やきれいな水で洗い流しましょう。
  • 金属片や鉄粉が入ってしまったときは、きれいな水で洗い流して眼科へ。痛みがない場合も受診しましょう。
  • 石灰が目に入ってしまったときは、きれいな水で10〜15分程度洗い流し、すぐに眼科へ行きましょう。
  • 角膜には自然治癒力があるので、キズの程度が軽度の場合には数日で治ることが多いです。
  • 角膜にできたキズから細菌感染を起こすことがあるので、抗菌点眼薬などで感染予防をすることも大切です。

目についてお悩みは、はんがい眼科へどうぞ

執筆者プロフィール

はんがい眼科院長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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