長時間の仕事や作業が続くと、目の奥が痛いことがありますね。同時に全身の疲労も積み重なっているように感じることが多いかもしれません。

目の奥に痛みを感じるとき、多くは眼精疲労が原因ですが、中には急性緑内障発作の前触れ(前兆現象)など、重大な疾患が隠れている場合もあります。特に、目の奥の痛みを繰り返す場合には注意が必要です。

目の奥が痛いときの原因や対処方法について、ご紹介します。ご参考にしてください。

原因① 眼精疲労(疲れ目)

ぐっすり寝ても治らない場合、眼精疲労かも

パソコンやスマートフォン、読書、勉強など、目を使う作業を続けることにより、目の奥の痛みや、かすみ目、充血、頭痛、肩こり、吐き気などの症状が現れることがあります。しかし十分な睡眠や休息をとってもこれらの症状が治まらない場合は、眼精疲労かもしれません。

目は6本の筋肉に支えられていますが、ずっと同じものを見続けると、長時間眼球の動きがとれない状態になり筋肉が疲労してしまいます。特に、スマホなど近い距離のものを見続けると、水晶体という目のレンズをずっと膨らませていないといけなくなり、毛様体筋という目の筋肉の緊張状態が続いてしまいます。目は、近くのものを見ているときはかなり頑張っているのです。

<対処法>温めたり冷やしたりして、目の筋肉を休ませる

目をしっかり休めることが大切です。近くのものを見続けると眼精疲労を起こしやすいので、1時間に10分程度は遠くのものを見て目を休ませましょう。また目の上に蒸しタオルをのせて温めたり、冷たいタオルを置いて冷やしたりするのもおすすめです。目の筋肉の過緊張を解いてあげましょう。

原因② 急性緑内障発作の前触れ

軽い痛みが出たり治まったりを繰り返すときは要注意

例えば料理や編み物などでずっと下を向いているときは目の奥が痛い感じがするのに、姿勢を直すと痛みが治まってしまうことがないでしょうか。ひょっとしたら急性緑内障発作の前触れ(前兆現象)かもしれないので注意が必要です。

緑内障とひとくちに言っても、さまざまなタイプがあります。下向きのときに目の奥が痛くなり、姿勢を直すと痛みが治まる場合、「閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障」という、水(房水)の出口が狭くなってしまい、眼圧が上がってしまうタイプが考えられます。下を向くことで、隅角(ぐうかく)という部分が水晶体で押されて狭くなり眼圧が上がっているのです。しかし上を向くと水晶体に隅角が押されなくなり、眼圧が下がります。

 

隅角が急に閉じると、「急性緑内障発作」となります。片目に酷い痛みが生じ、頭痛、吐き気などが襲います。片目だけ激烈な痛みが起きた場合は、たいていの場合、脳ではなく目が原因ですから、眼科を受診してください。

<注意点>

遠視の人は閉塞隅角緑内障になりやすい

遠視の人は眼球が小さいため、この隅角がもともと狭くなっています。近くのものを見るとき水晶体は大きく(厚く)なるため、隅角を圧迫してさらに狭くなり、塞がりやすくなります。

薄暗いところで下向き作業を続ける際は要注意

薄暗いところでは瞳孔が広がります。また下を向くことで隅角が圧迫されます。そのため緑内障発作を起こしやすい状態になりますので、下を向いて作業をしているときに目の奥に痛みを感じたら注意が必要です。また隅角が狭いことがわかっている方は、下向きでの作業を長時間続けないように気をつけてください。

睡眠薬、消化管の薬、アレルギー薬には要注意。

これらの薬には、抗コリン薬という成分が含まれている場合があります。抗コリン薬は緑内障の方(狭隅角の方)には禁忌で、服用することで緑内障発作を誘発するリスクがあります。内科などで薬を処方してもらう際には、緑内障の既往症がある方は医師に伝えてください。

<対処法>下向き姿勢で目の奥が痛い場合は早めに眼科へ

遠視の人は、自分の隅角が狭くなっていないか眼科で調べてもらいましょう。また、下向きの姿勢で目の奧に痛みを感じ、上を向くと痛みが治まる場合は、緑内障発作の前触れかもしれないので、なるべく早めに眼科を受診するようにしましょう。

原因③ 眼窩蜂巣炎(がんかほうそうえん)

目やまぶたに強い痛みがあったら、すぐに眼科を受診!

眼窩(がんか)とは、眼球がおさまっている骨で囲まれたスペースのこと。眼窩部分に起こる炎症、あるいは膿瘍(うみが溜まること)のことを眼窩蜂巣炎といいます。昔は眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)とも呼ばれていました。

症状としては、目の激しい痛み、まぶたの腫れ、眼球の突出、白目の充血、むくみ、眼球が動きにくいなどで、手でまぶたを押さえると強い痛みを感じます。場合によっては発熱や頭痛、吐き気なども伴います。

発症の原因としては、外傷による細菌感染、口腔内や副鼻腔の炎症などの広がりで、原因となる菌は黄色ブドウ球菌が多いとされています。

<対処法>入院して、抗菌薬の点滴を受ける

一刻も早い対処が必要です。診断が付いたら緊急に入院し、抗菌薬の点滴を行います。副鼻腔や口腔内の炎症が原因の場合は、耳鼻科や歯科の治療も行います。

原因④ 視神経炎(ししんけいえん)

目を動かすと、目の奥に痛みを感じる

視神経炎とは、眼球の後方にある視神経に炎症が起こり、視機能障害が起こることをいいます。原因は不明なことが多く、多発性硬化症の初期症状として発症したり、全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患などにより生じることもあります。

症状としては、目を動かすと目の奥が痛むことが特徴です。また入浴時など体温が上昇した際に見えにくくなることもあります。場合によっては、数日から1週間程度の間に、片目の視力が急激に低下します。その後、両眼性に移行することもあります。

<対処法>ステロイド薬の点滴を受ける

自然に回復する場合もありますが、多くの場合、はじめはステロイド薬の点滴治療を受け、その後、ステロイド薬の内服治療に移行します。同時にビタミン剤の点滴を行う場合もあります。ステロイド薬の点滴は、視機能の回復を早めるとされています。

原因⑤ うつ病や歯周病

うつ病や歯周病の症状として、目の奥が痛くなることも

うつ病などの精神疾患は、首や肩の筋肉を緊張させるため、目の奥の痛みを生じさせることがあります。また目の奥だけでなく、肩こりや腰痛、頭痛などの痛みも起こします。歯周病は、細菌によって歯肉や歯根膜、歯槽骨(しそうこつ)などに炎症が起こる病気ですが、歯周病により生じた膿が副鼻腔に詰まり、目の奥に痛みを感じることがあります。

<対処法>

うつ病や歯周病など、原因となる病気の治療を行います。眼科を受診しても原因がわからなかった場合、精神科や歯科でも検査を受けてみましょう。

板谷院長のひとことアドバイス

長時間の作業が続くと、目の奥に痛みを感じることがあります。多くは眼精疲労が原因ですが、中には急性緑内障発作の前触れ(前兆現象)など、重大な疾患の場合もあります。特に、痛みを繰り返す場合には注意です。眼精疲労の場合は目を休めることが大切です。遠くを見たり、目の上にタオルをのせて温めたり冷やしたりするのもいいですよ。

まとめ

  • 睡眠や休養をとっても目の奥が痛い場合は、眼精疲労かもしれません。
  • 目を温めたり冷やしたりして、目の筋肉の過緊張を解きましょう。
  • 薄暗い部屋で下向き作業をしている時に、目の奥に痛みを感じ、上を向くと治るときは、緑内障発作の前兆現象を疑ってください。
  • 遠視の人は、閉塞隅角緑内障を発症しやすいので注意が必要です。
  • 抗コリン薬が含まれている薬は、緑内障や、狭隅角には禁忌ですので、内科などを受診する際には医師に伝えてください。
  • 手でまぶたを押さえると強い痛みがある、目を動かすと目の奥に痛みがある場合には、なるべく早く眼科を受診してください。
  • うつ病や歯周病でも、目の奥が痛くなることがあります。

目についてお悩みは、はんがい眼科へどうぞ

執筆者プロフィール

はんがい眼科院長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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