「学校の視力検査で、近視がかなり進んでいて眼科でそろそろメガネが必要と言われた」
「メガネを使っていたけれど、メガネのわずらわしさから解放されたい」
「おしゃれやメイクのために、メガネをかけずに生活したい」
「近視が強すぎてメガネでは十分見えなくて困っている」
そういうときに思い浮かぶのが、「コンタクトレンズ」でしょう。
 
日本では、1991年に使い捨てタイプのコンタクトレンズが販売されるようになり、コンタクトレンズを装用する方が急増しました。最近では、製品によってはインターネットでも購入できるなど、以前よりも気軽にコンタクトレンズを使えるようになっています。
しかし一方で、コンタクトレンズが原因の目のトラブルも増加傾向にあります。やはりデリケートな目に直接レンズをのせるのですから、その方に合った製品を選び、正しい使用法で装用することが大切になります。

今回は、これからコンタクトレンズの使用を検討する方に知っておいてほしい基本情報を紹介したいと思います。

コンタクトレンズは屈折を矯正する医療器具 ~メガネにはないメリットも~

国民の10人に1人以上がコンタクトレンズを使用

コンタクトレンズとは、小さなレンズを目の角膜の上にのせ、近視や遠視、乱視などの屈折異常を矯正するものです。
より正確にいえば、角膜に直接レンズがのっているわけではなく、目の表面を覆っている涙の層にレンズが浮いている状態になります。レンズを通して目に入る光の屈折を調整することで、ピントが合うようになります。

国内でコンタクトレンズを使用している方は1500万~1800万人といわれ、これは国民の10人に1人以上が装用している計算になります。
コンタクトレンズを使い始める年齢では、10代が全体の9割以上を占めています。大手コンタクトレンズメーカーの2010年の調査によると、13~15歳(中学生)が35.8%、16~18歳(高校生)が47.6%となっています。

メガネとコンタクトレンズの違いとは

近視や遠視などを矯正する器具としてはメガネもありますが、メガネとコンタクトレンズはまったく異なるものです。メガネと比較したときのコンタクトレンズのメリット、デメリットは以下のような点になります。

<コンタクトレンズのメリット>

・レンズがずれたり、くもったりしない
・視界が広い
・ものの大きさの見え方が変わらない
・視力の左右差にも対応しやすい

メガネは激しい運動をするときなどにずれたり、汗や蒸気などでくもることがありますが、コンタクトレンズはそうした心配はありません。スポーツや部活動をするためにコンタクトレンズを選ぶ例も多いようです。
またクリアに見える視界は、メガネが120度前後なのに対し、コンタクトレンズは約180度と広いのが特徴。ものの見え方も、近視用メガネでは実物より小さく、遠視用メガネでは大きく見えますが、コンタクトレンズは実物とほぼ同等の大きさに見えます。総じて、コンタクトレンズのほうが裸眼に近い自然な見え方といえます。
また、視力の左右差が大きいときや、強度近視の方でも、矯正効果が得られやすいこともメリットの1つです。

<コンタクトレンズのデメリット>

・毎日レンズの手入れが必要
・使い方を誤ると角膜の障害を起こす例も
・角膜や結膜の病気があると使えない

一方、コンタクトレンズのデメリットとしては、毎日レンズの洗浄・消毒・保存といったケアが必要になることです。以前に比べればケアの方法は簡便になってきていますが、こうしたケアを怠ると、レンズの汚れ等によって感染症を起こしたり角膜を傷つけてしまう恐れがあります。
また定められた使用法を守らずに、長時間連続で装用するといったことも、同様に目のトラブルの原因となります。酸素透過性の低いコンタクトレンズを長期間使用し、角膜が酸素不足の状態が続くと、角膜が濁り、視力の回復が困難になることもあります。

なお、アレルギー性結膜炎などの目の病気や角膜の異常(角膜混濁や角膜内皮細胞の減少)がある方、ドライアイの症状が重い方は、コンタクトレンズは使用できません。

コンタクトレンズの種類と特徴 ~使い方や装用感は種類によって異なる~

コンタクトレンズの種類は、大きく「ハードコンタクトレンズ(HCL)」と「ソフトコンタクトレンズ(SCL)」の2種類に分けられます。さらにソフトコンタクトレンズでは、レンズのケアをしながら1~2年間使用する従来型のレンズのほか、使い捨てタイプのレンズも種類が増えています。
主なコンタクトレンズの種類と特徴は、以下のようになります。

ハードコンタクトレンズ(HCL)

材質が硬質で、角膜(黒目)よりも一回り小さいサイズのレンズです。装着し始めた当初は、異物感を生じることもありますが、徐々に慣れます。最近のハードコンタクトレンズは、酸素透過性の高い製品が主流になっています。
ハードコンタクトレンズは耐久性があり、乱視の矯正機能が高いのが特徴です。また目に異常があればすぐに痛みが出るため、重い角膜障害などは生じにくいといわれます。
反面、装用中にレンズが外れたり、ずれたりしやすいのが短所です。

従来型ソフトコンタクトレンズ(SCL)

材質が軟らかく、装着したときに異物感が少ないのがソフトコンタクトレンズです。角膜よりも一回り大きいサイズで、酸素透過性はハードコンタクトレンズより劣るものが多くなっています(素材により酸素透過性は異なります)。 
ソフトコンタクトレンズは外れにくく、スポーツなどの際にも適していますが、水分を含む特性からたんぱく質などの汚れがレンズに付きやすく、異常があっても痛みを感じにくいために角膜障害が進行してしまう例があります。レンズの耐久性、乱視矯正機能は低めです。

使い捨てソフトコンタクトレンズ

1991年から販売されるようになった「ディスポーザブル」のソフトコンタクトレンズです。汚れが付着する前にレンズを交換し、常に新しく清潔なレンズを使うことで目の健康を守ろうという発想から生まれたものです。
使用期間は1日、1週間、長いものでは数か月など、いくつかの種類があります。
・1日使い捨てレンズ……装用したレンズはその日のうちに外し、再使用しない。
・1週間使い捨てレンズ……最長1週間を限度に連続装用し、外したら再使用はしない。
・頻回交換レンズ/定期交換レンズ……決められた期間(2週間、4週間、1か月、3か月、6か月など)は毎日レンズを出し入れするが、その期間以上は再使用をしない。

オルソケラトロジーレンズ

オルソケラトロジーという近視の矯正治療に使われる、特殊な形状をしたオルソケラトロジーレンズというのもあります。
オルソケラトロジーとは、専用のコンタクトレンズを就寝前に装着し、就寝中に角膜の形状を矯正することで、近視を矯正する治療法です。角膜の形状は1日で元に戻りますが、日中は裸眼で生活することができるようになります。

オルソケラトロジーのレンズ。2段階の屈折がある、特殊な形状をしています

オルソケラトロジーの治療では、特殊な形状のコンタクトレンズを就寝前に装用することで、角膜の形状を変化させ、近視を矯正します

コンタクトレンズによる目のトラブル

コンタクトレンズの種類別の目のトラブルの発症率を調べた調査では、トラブルが多かったのは1週間連続装用使い捨てソフトコンタクトレンズ、従来型ソフトコンタクトレンズ、2週間交換ソフトコンタクトレンズの順です。
反対に眼障害が少なかったのは、1日使い捨てソフトコンタクトレンズ、ガス(酸素)透過性ハードコンタクトレンズです(下表参照)。
いずれにしても、コンタクトレンズの特性を理解して選択、使用することが大切になります。

<コンタクトレンズによる眼障害の発症率>

CL眼障害件数 年間CL眼障害数(推定) CL装用者 年間発症率
ガス(酸素)透過性HCL 130 1,560 27,936 5.6%
従来型SCL 102 1,224 10,991 11.1%
1日使い捨てSCL 22 264 8,092 3.3%
1週間連続装用使い捨てSCL 6 72 481 15.0%
2週間交換SCL 153 1,836 19,171 9.6%
合計 413 4,956 66,671 7.4%

<引用資料:日本眼科学会HP「日本コンタクトレンズ協議会コンタクトレンズ眼障害調査小委員会、 平成13年10月 松本市・下関市・城陽市・横浜市における46施設内の全CL装用者の眼障害調査報告より」>

角膜感染症。コンタクトレンズを正しく使用しないために起こる、代表的な目のトラブルの1つです

コンタクトレンズを使い始めるときは必ず眼科で処方してもらい、使用法を守る

コンタクトレンズは身近で便利な視力矯正器具ですが、使い方を守らなければ眼障害のリスクが生じる高度管理医療器具でもあります。
使用を考えるのであれば、必ず眼科を受診し、必要な検査を受けたうえで、ご自分に合ったコンタクトレンズを処方してもらうようにしてください。
また装用時間や毎日のレンズケアなど、定められた使用法をしっかり守ることも大切です。さらに、気になる自覚症状がなくても、医師に指示された定期検査を忘れずに受けるようにしましょう。そうした管理を続けることが、大切な目を守りつつ快適な視力を維持することにつながります。

コンタクトレンズを購入・使用するときのポイント

①必ず眼科で検査を受け、コンタクトレンズの処方を受けて購入する
②決められた装用時間や使用方法を守る
③適切なレンズケアを行う
④調子が良くても、眼科で指示された間隔で定期検査を受ける

板谷院長のひとことアドバイス

コンタクトレンズは製品のレベルがどんどん上がっており、酸素透過性が高く、装用感が自然なものが増えてきました。ただ素晴らしい製品を使っていても、使い方を間違い角膜混濁による視力障害など治らない後遺症を負ってしまうと悔やみきれません。目のトラブルを未然に防ぐためにも、正しい使用方法を必ず守るようにしましょう。

まとめ

  • コンタクトレンズのメリットは、視野が広く、自然な見え方が得られ、スポーツ時の装着にも適していることです。反面、使用法を間違えると目のトラブルの原因になります。
  • コンタクトレンズは、大きく「ハードコンタクトレンズ」と「ソフトコンタクトレンズ」の2種類に分類できます。ソフトコンタクトレンズには「使い捨て」タイプもあり、種類が増えてきています。
  • 購入するときは、必ず眼科を受診して処方を受け、決められた使用法を守って使うことが重要です。

執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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