ふと鏡を見たときに、自分の白目がブヨブヨと腫れていたら、大抵の人はビックリしてしまうでしょう。

しかし、そこまで強く心配する必要はないかもしれません。実は白目の“ブヨブヨ”は、夕方頃になってくると気になる、手足のむくみと同じようなものなのです。つまり、余分な水分がうまく排出されず、手足がブヨブヨとしてしまう“むくみの一種”です。この白目のむくみを、専門用語では「結膜浮腫(けつまくふしゅ)」と言います。

放っておいても自然に治ることが多い結膜浮腫ですが、まれに危険な病気が潜んでいる可能性もあります。今回は結膜浮腫について詳しくお伝えします。ぜひ参考にしてください。

白目がブヨブヨと腫れ上がる結膜浮腫

白目の奥部分(強膜)と表面の結膜の間に水分が溜まってしまうことで、白目がブヨブヨと腫れあがってしまうことがあります。これを結膜浮腫と言います。主に、何かしらのアレルギー反応で結膜に炎症が起きている時に、目をかくなど結膜への刺激が加わることで腫れてしまいます。

ほとんどの場合は時間の経過とともに回復傾向に向かい、そのうちにスッキリとした白目に戻ります。しかし、症状の進み具合によっては、まぶたを閉じるのに支障が出るくらいに腫れあがることもあります。

見た目にはびっくりしてしまう状態です。ただしこれは、単にかなり症状が進んでしまっただけで、より深刻な病気になってしまったわけではないので、ご安心を。

結膜浮腫になったら、まずは安静にすることを心がけましょう。目元に溜まった水分を流すという意味では、冷たいタオルなどを用いて目元を冷やしたりするのも良いかもしれませんが、患部への刺激をなるべく最小限に留めておくことが最優先です。

結膜浮腫の症状とは?

結膜浮腫というのは、結膜に炎症が起きる結膜炎の症状のうちのひとつで、症状が酷くなることで白目が腫れ出してくるものです。体のどの部分でも、炎症が起きると血管の壁が緩くなり、血液の血漿成分が漏れ出すのですが、これが結膜に起こったのが結膜浮腫の正体です。

炎症の程度によって腫れ具合に差があり、結膜がシワシワによれてしまったり、見るからにボヨンと腫れあがっている場合もあります。結膜炎の一種ですので、目のかゆみ、ゴロゴロとするような異物感や不快感、充血、目やに、まぶたの腫れ、発熱などといった結膜炎の症状が同様に現れます。

結膜浮腫になる原因は、アレルギーやドライアイなど

アレルギー性結膜炎が原因の場合


花粉、ハウスダスト、細菌やウイルス、カビ、紫外線などに反応して結膜炎の症状が出ることもありますし、ペットアレルギーおよび金属アレルギーなどのアレルギー反応によって発症することもあります。

花粉症の季節になることもありますし、山や林など普段行かないところへ行ったときになることもあります。

治療は、原因であるアレルギー性結膜炎の治療を受けましょう。眼科を受診すると抗アレルギー点眼薬やステロイド点眼薬などが処方されます。アレルギーの原因(アレルゲン)から遠ざかることも効果的です。

山や林など普段行かないところで出た場合は、家に戻れば改善に向かうでしょう。花粉症はしばらく続きますが、眼科でアレルゲンが何かを調べてもらうと対策が立つかもしれません。

カラーコンタクトレンズが原因の場合

金属アレルギーを持っている人は、カラーコンタクトレンズ(以下、カラコン)の着用時にも注意をしなければなりません。と言いますのも、カラコンの色素部分には金属が含まれているからです。

詳しく言うと、“金属酸化物質系着色”というものになります。これは、カラコンはもちろんのこと、瞳を大きく見せるためのサークルレンズなどでも同様のことが言えます。

金属部分が眼に触れることにより、眼がアレルギー反応を示し、結果として結膜浮腫を引き起こすことがよくあるのです。
そのためカラコンを選ぶときには、サンドイッチ構造といわれる色素が直接目に触れないような仕組みになっているものを選ぶようにすることをおすすめします。

とはいえ、金属を使用している以上は絶対に大丈夫とは言い切れません。金属アレルギーの強い人は使用しない方が無難ですが、どうしてもという人は一度かかりつけの眼科医に相談してみると良いでしょう。

普通のコンタクトレンズが原因の場合

また、この他にも普通のコンタクトレンズの長時間着用なども、結膜浮腫になる原因のひとつになります。コンタクトレンズの使用時間を守らず長時間着用し続けたままにすると、その負担で結膜にシワがよって、コンタクトレンズがピッタリとくっついてしまうことがあります。

通常ですと、目の表面には涙の膜があるため、コンタクトレンズは目の表面に浮いているようになっています。

しかし、コンタクトレンズの長時間の着用は、目の表面にある涙の膜を奪ってしまうドライアイの症状を引き起こします。この乾いた状態が目にとってのストレスとなり、結膜浮腫を引き起こすことがあります。

この場合は結膜浮腫の症状だけでなく、ドライアイの併発にも注意が必要です。特に、もともとドライアイの方、長時間のデスクワークのある方は気をつけましょう。

結膜浮腫と紛らわしい結膜嚢胞(けつまくのうほう)


炎症、手術、外傷などがきっかけで、結膜上皮の細胞が結膜の内側(上皮下)に入り込んでしまい、その中で粘液を産生してしまい(結膜には粘液を作る細胞があります)、ぷくっとした透明な袋(嚢胞といいます)が形成されることがあります。

しばらく経過をみていると無くなる場合も多いですが、続くようであれば、手術によって嚢胞を丸ごと切除してしまいます。細い針で嚢胞を刺して(嚢胞穿刺)、貯まっている液体を排出するだけでは、粘液を産生している細胞自体は残存しているため、再び嚢胞が形成されてしまうことが多いからです。

腫れが長引く場合は恐ろしい病気の可能性も!?

目の構造

内頸動脈海綿静脈洞瘻(ないけいどうみゃくかいめんじょうみゃくどうろう)は脳に問題あり

結膜の浮腫を伴う病気は結膜炎だけではありません。内頸動脈海綿静脈洞瘻という、脳の内頸動脈に穴が開いて、静脈洞にその血液が流れ混んでしまう病気があるのですが、その結果静脈がうっ血して、目に結膜浮腫や結膜の充血を引き起こします。

この病気は結膜浮腫や結膜の充血のほか、眼圧上昇、目の突出、複視などが見られるため、とにかく眼科に受診に来られる方が多くいます。

眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)は緊急入院が必要

眼球全体がおさまっているスペースのことを眼窩というのですが、その部分に化膿性の炎症が起こってしまうことを、眼窩蜂窩織炎と言います。充血やまぶたの腫れなどの症状が治まらないときは、この眼窩蜂窩織炎である可能性も出てきます。

他にも症状として、複視や眼球の突出、視力低下などを伴うこともあります。手遅れになると命にかかわることもあるので、緊急入院をした上での治療は必要になります。

当たり前のことですが、眼病以外の病気は、眼科では専門の検査ができないため、脳や動脈・静脈に原因がある場合にはCTや造影設備のある病院へ行っていただくようになります。あまりにも結膜浮腫が長く続くような場合には、眼科だけではなく脳外科を受診した方が良い場合もあるということです。

目に異変が現れると、そこにばかり敏感に反応してしまいますが、何らかの異常を知らせるシグナルのひとつとして目に異常が現れているということも、大いにあり得ることなのです。

まとめ

  • 白目がブヨブヨと腫れても、それほど心配することはない
  • 結膜浮腫は結膜炎の症状のうちのひとつ。結膜浮腫自体は、時間の経過とともにだんだんとおさまってくることが多い。結膜炎の原因を知り原因から離れることと、結膜炎の治療が効果的。
  • 長引く結膜浮腫は、眼ではなく脳に原因がある可能性あり

執筆者プロフィール

はんがい眼科院長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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