目がゴロゴロとする異物感を感じると、痛みや不快感で不安になる方も多いのではないでしょうか。

目のゴロゴロは、目の表面にある痛覚神経が刺激されて起こります。目の痛みは「涙を出して異物を洗い流す」という、目の防御機能を働かせるための重要なサインであり、ゴロゴロもそのひとつです。異物感の正体は抜けたまつ毛やゴミが目に入っているだけかもしれませんが、異物感が長引く場合は、角膜が傷ついていたり、まぶたに異常が発生したりしている可能性も考えられます。

今回は、目の異物感の正体とその対処法をまとめました。症状を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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角膜の表面を刺激する5つの主な異物

目のゴロゴロ感には、「目の中の異物が角膜の表面を傷つけている場合」と「目に異物がなく、目自体に問題がある場合」の2つがあります。
異物が入っている場合は取り除けば解消できる場合も多いのですが、目そのものに問題がある場合は、原因を解決するための治療が必要になり、解決が長引きやすくなります。

まず、角膜の表面を傷つける異物の正体と対処法について、代表的な5つの原因をご紹介します。どの原因であっても、ゴロゴロの正体をつかまなければ、異物感を取り除くことはできません。痛みが少なくても、放置せずに原因を解明しましょう。

小さなゴミが目に入っている

実際に目に異物が混入してゴロゴロしている場合は、目の中に入った異物を取り出すことで不快感が解消されるでしょう。小さなゴミであれば、涙で洗い流すことができます。
涙が出づらく、なかなか洗い流せない場合は、水道水や目薬を使うことも有効です。どうしても取り出せない場合は、眼科を受診してください。

まつ毛が目に入る逆さまつ毛

まつ毛が眼球に向かって、内側に生えている状態が「逆さまつ毛」です。逆さまつ毛を抜くことでもゴロゴロを解消できますが、すぐに再発してしまいます。
根治療法としては、電気分解法で毛根を破壊して生えてこないようにします。区別したいのが、まぶたごとまつ毛全体が内側に向いて角膜に当たる「内反症」です。
子供にも多く見かけます。この場合は、手術でまぶたを外に向けて本来の位置にもっていく内反症手術で治します。

まぶたの裏側の結膜結石

結膜結石」とは、まぶたの裏側に変性した細胞などが集まってできた白い塊のことを指します。
炎症によって増殖してしまった結膜の杯細胞に、カルシウムや脂質などが沈着したものが結膜結石の正体です。アレルギーやドライアイなどが原因で起こります。
異物感の原因になっていると思われる場合は、手術で除去します。外来の診察室でできます。

春から夏にかけて起こる春季カタル

春から夏にかけて起こる重度のアレルギー性結膜炎で、青少年に多く見られる疾患です。発症すると上まぶたの裏側が石垣のようにでこぼこになり、角膜を傷つけます。

解決法としては、アレルギーの原因を特定して避けることが必要です。その上で、症状が重ければステロイド薬の点眼を行います。長期間のステロイド薬使用による眼圧上昇に気をつけながら使用します。
症状が軽くなったら、非ステロイド系の抗アレルギー薬や消炎薬に切り替えて治療を続けます。

まぶたにできるできもの-麦粒腫と霰粒腫(ものもらい)

まぶたにできものができて腫れる病気には、麦粒腫霰粒腫が有り、地域により「ものもらい」「めばちこ」あるいは「めいぼ」などと呼ばれます。
麦粒腫は、まぶたにある皮脂や汗を出す部分が細菌に感染し、化膿して炎症が起きて、まぶたが腫れます。目の異物感のほか、かゆみや痛みを伴うこともあります。麦粒腫は、抗菌点眼薬などを投与すれば1~2週間程度で改善します。

霰粒腫は、涙の膜の「油層」をつくるために油を分泌する「マイボーム腺」に油脂性分が詰まって溜まり炎症をおこしてしこりを形成します。
感染が原因ではない場合が多いですが、時に感染が原因になったり、2次的に感染して急性化膿性霰粒腫になることもあります。抗菌点眼薬やステロイド点眼薬を試しますが、効果が少ないことが多く、排膿や切除手術が必要になります。

目自体に問題が起きて感じるゴロゴロについて

ゴロゴロの正体が実際の異物でなければ、目自体に問題が発生している可能性があります。目自体の問題とは、角膜や結膜など眼表面にできた傷や感染です。
眼の表面には異物センサーとして鋭敏な痛覚神経が張り巡らされており、ちょっとした傷でもゴロゴロと感じます。目の表面の傷は、この記事の前半で述べた異物により起こることがありますが、通常は涙など眼表面を守る仕組みが働いて感染を起こさず、傷はすぐに治ります。
ところが、涙に問題があると傷が長引いたり、感染したりします。涙に異常があると、異物が無くても角膜に傷がつきます。これがドライアイなのです。

涙は悲しいときや感動したときに大量に分泌されるというイメージが強いですが、実は日常的に分泌されており、まばたきによって目の表面に涙の膜を張って、目を潤しているのです。
涙の膜は角膜を守るための大切な組織と言えます。さまざまな原因で涙の膜が壊れると、涙そのものが減ったり、涙は出ているが角膜表面に涙の膜が張りにくくなったりするといった症状を引き起こすことがあります。

角膜が目の危険を伝える

異物がないのにゴロゴロとした異物感を感じるのは、角膜を守るための防御機能が発達していることによります。
角膜は、水晶体とともに光を屈折させて網膜に焦点を結ぶ大事な組織です。角膜が屈折率の3分の2を担っています。この役割は透明であることで果たせますが、目の外側にあるので傷つきやすいという弱点があります。
そのため、角膜を守るための防御機能が発達しており、何かが少し触れただけでも過敏に痛みを感じる痛覚はそのひとつです。

つまり、痛みはデリケートな組織である目を外界の異物から守る大切な仕組みであり、目のゴロゴロ感は異常を知らせてくれる大事なサインなのです。

角膜を守る涙の仕組み

もうひとつの角膜を守る大事な防御機能が、涙の膜です。涙の膜は異物から角膜を守ります。リゾチームと呼ばれる抗菌成分が含まれており、感染からも守っています。
また、涙は栄養分や酸素を血管のない角膜へ届ける役割もあります。「涙は角膜の血液」なのです。涙は角膜を生かすための「臓器」とすら言えるかもしれません。

涙の膜は、「油層」「水層」「ムチン層」という3層で成り立っています。涙は少量の水分ですから蒸発しやすく「油層」で蒸発を防いでいます。角膜に張る涙の膜は、いわば切り立った崖を登る人のようなもので、重力で簡単に流れてしまいます。
ムチンはサラサラした水分を糊のようにする成分で、「ムチン層」は涙の膜にねばりを与え、重力に抗して角膜表面に涙の膜が安定する役割をはたします。

ところが、3層が壊れて涙の質が低下すると、涙が蒸発しやすくなったり、ねばりがなくなって、すぐに流れ落ちてしまったりします。このように涙の膜が壊れてしまうと、ドライアイや乾き目などの「乾性角結膜炎」を引き起こす原因となるのです。
乾性角結膜炎の日本の患者数は約800万人といわれています。

【出典:ドライアイ研究会ホームページ】

角膜を保護している涙がなくなると、角膜が傷つきやすくなるだけではなく、眼病の引き金となる場合があります。
たとえば、「角膜上皮障害」です。角膜が傷つくことで、角膜上皮に細かな点のような傷が広がる「点状表層角膜症(てんじょうひょうそうかくまくしょう)」や、角膜上皮の全層が剥がれてしまう「角膜びらん」などを引き起こすことがあります。

また、細菌感染を起こすと、角膜の奥にある角膜実質にまで影響を及ぼす「角膜潰瘍(かくまくかいよう)」といった重症の眼病になる可能性も考えられるので、十分注意しましょう。
角膜上皮は再生しますが、角膜実質は再生しません。角膜の傷は、思っている以上に重大なことなのです。

まぶたは目のガードマン

目を守っているまぶたも大事な防御機能のひとつです。まぶたは、まばたきによって涙を目の表面に塗りつけて涙の膜を作り出し、目を保護しています。
このように目を乾燥から守ったり、あるいは目を閉じて異物をガードするのも大切なまぶたの働きなのです。まぶたに異常があると、すぐに異物感となって現れます。

先述した麦粒腫や春季カタルなどのゴロゴロとした異物感の症状は、角膜の危険だけでなく、まぶたの異常をいち早く知らせる役割もあるのです。

涙の膜が壊れることでゴロゴロする症状が現れるドライアイ

涙の膜が壊れる病気の代表としてドライアイがあります。先に述べた乾性角結膜炎は、一般的にはこのドライアイのことを指します。
発症すると、涙の膜が壊れてしまい、角膜の表面が乾くようになり、ゴロゴロする異物感を感じたり、角膜の表面が傷ついて痛みや不快感が起こります。

ドライアイの主な原因は、長時間のパソコンやスマートフォンなどのモニターを見つめる作業、不適切なコンタクトレンズ装用、乾燥した室内環境など、日常的なものです。自分の生活を見つめ直し、涙の膜が壊れやすくなる原因の対策を講じる必要があります。

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また、涙だけでなく唾液の分泌量も減少してしまう「シェーグレン症候群」という自己免疫性疾患にかかると、重いドライアイが発症します。
高齢の女性がかかりやすい病気で、発症すると治療は難しく、乾燥症状を抑えるために毎日の目薬を続ける必要が生じます。

シェーグレン症候群は発症を予防することは難しいかもしれませんが、通常のドライアイなら日常生活で注意すれば十分に防ぐことができます。
目の乾きなどで異物感を感じることがある方は、くれぐれも目を労わって、より重い眼病に発展しないように生活環境を見直すことをおすすめします。

まとめ

  • 目のゴロゴロは、異物が混入した場合と目に問題ある場合の2つ考えられます。
  • 異物が原因の場合は、原因を解決すれば異物感はなくなります。
  • 涙の膜が壊れると、ドライアイになり、角膜が傷ついてより深刻な眼病を引き起こすきっかけにもなります。
  • コンタクトレンズ、エアコン、パソコン作業など、涙の膜が壊れる原因は日常生活にあります。

執筆者プロフィール

はんがい眼科院長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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