目のまわりがピクピクと勝手に動いて止めようにも止まらない経験がある人は、おそらく多いのではないでしょうか。自分の意思とは関係なく、勝手にまぶたがピクピクと動いて止まらなくなってしまうと、自分はどうしてしまったんだろうと不安になってしまいます。

自分の意思とは無関係にピクピクとまぶたが動く現象は、単に疲れやストレスから一時的に起きる眼瞼(がんけん)ミオキミアかもしれません。もしくは、どんどん悪化して目が開けられなくなる眼瞼痙攣(がんけんけいれん)や顔面の複数の筋肉に起こる片側顔面痙攣(かたがわがんめんけいれん)など、しっかりした治療が必要な病気にかかっている可能性も考えられます。

同じまぶたのけいれんでも、これらは全く異なる病気です。今回は、眼瞼痙攣を起こす病気をお伝えします。ぜひ参考にしてください。

ストレスや疲れからくる眼瞼ミオキミア

「片目だけピクピク動いて気持ちが悪いけれども、それ以外の症状は一切現れない」というのであれば、眼瞼ミオキミアの可能性が高いでしょう。眼瞼ミオキミアは、通常片目にのみ現れる、まぶたがピクピクと勝手に動いてしまう症状です。

目のまわりの筋肉(眼輪筋)が一定のリズムで勝手に収縮することで、上まぶたや下まぶたがけいれんしたようにピクピクしてしまうのです。病気というより生理現象に近く、症状自体は数日から数週間で自然に治まります。

健康な人でも眼瞼ミオキミアに悩まされる可能性は大いにあります。というのも、眼瞼ミオキミアは、疲れ目、睡眠不足、身体的な疲労など、要するに単なる疲れが引き金となって現れることが多い症状だからです。

心理的ストレスも原因のひとつと考えられています。

栄養不足も引き金になることがある?

“筋肉のけいれん”という観点から言えば、筋肉の働きにかかわる電解質(イオン)という栄養成分が原因という考えもあります。特に、マグネシウムが注目されています。マグネシウムはストレスを受けることによって減少するとされている栄養素ですので、しっかりと補ってやることで症状が緩和される人もいるようです。

他には、目の粘膜強化につながるビタミンA、神経伝達物質の合成に関わるビタミンB6とビタミンB12の不足も、目のまわりの筋肉のけいれんを引き起こす影響があるかもしれないとされる栄養素です。

しかし、いずれもこのような栄養素サプリメントを補うことで眼瞼ミオキミアが治るという科学的根拠(エビデンス)はありません。なぜなら数日から数週間で自然に治ってしまうからサプリメントの効果かどうかわからないのです。

眼瞼ミオキミアは、睡眠不足や疲労などの体調の悲鳴のサインと考えることもでき、そのような意味では栄養不足も原因のひとつにはなるかもしれません。

症状が重い眼瞼痙攣と片側顔面痙攣

眼瞼ミオキミアが、休息するだけで治る良性の病気であるのに対して、似たような症状である眼瞼痙攣と片側顔面痙攣は、より深刻な問題をはらんだ病気と言えます。その問題は、脳と神経にあります。

脳との関わりについては、こちらのコラムでもご紹介しております

目か脳か?目のチカチカを引き起こす2つの場所と9つの原因

眼瞼痙攣はまばたきスイッチが故障してしまう

眼瞼痙攣という病名から、眼瞼ミオキミアのようにまぶたがピクピクけいれんすることをイメージしがちですが、実際はまぶたがピクピク動くわけではありません。
思うように目が開けにくくなったり、まばたきが頻繁になる、いわば目を開けたり閉めたりする脳の神経回路の故障した状態です。その故障のために、目の周りの眼輪筋が必要以上に収縮してしまうことで、無意識にまぶたが閉じてしまうのが症状の仕組みです。

つまり眼瞼痙攣は、「まばたきのコントロール異常」もしくは「まぶたの開け閉めスイッチの故障」という言い方もできます。そして、実際は、「まぶしい」、「目が乾く感じがする」などの感覚過敏を自覚して受診したり、「目を閉じているほうが楽」、「自然と目が閉じてしまう」といった自覚症状で受診します。

この訴えから大半は「ドライアイ」と間違えられやすいのですが、当然別の病気のため、ドライアイの治療をしても良くならないのです。眼瞼痙攣は重症になると、手を使わないと目が開けられなくなる機能的失明に陥ることもあります。

さらに原因か結果かはわかりませんが、不眠、うつ、不安感など精神症状を示す人も多く、心の病などと間違えられることもあります。

年齢で言えば中年期以降に多く、また男女差では女性が男性の2.5倍も多いとされます。重症になると目がまったく開けられなくなりますが、一見しただけでは分からないような軽症例の方が多く、日本には少なくとも30~50万人以上の患者さんがいると考えられています。

多くの場合は原因が不明ですが、睡眠導入薬、精神安定剤、抗精神病薬などを使用した方や、化学物質に曝(さら)されてしまった経験がある方が発症する場合が多く、これらが原因や引き金になっていると考えられています。
治療のためには、まずはできるだけこれらの薬の服用を中止したり、化学物質へ体を曝さないようにすることが大切です。

根治は難しく、対症療法になります。眼周囲の皮膚にボツリヌス毒素Aを製剤にしたものを少量注射して、眼輪筋を麻痺させ目をつぶる力を弱める方法が一般的です。効果は2~4か月持続します。なお、抑うつ感があると症状が悪化しますので、心の安定が必要な病気です。

片側顔面痙攣は顔面の神経が圧迫されることで起こる

片側顔面痙攣では、その病名通り“片方の顔だけ”がけいれんします。まずは左右どちらかのまぶたがピクピクとけいれんし始め、そのけいれんは次第に頬、口元にまで広がっていきます。40歳以上に多く、男女比はほぼ1:2です。このピクピクは、話したり、笑ったり、食べたり飲んだりするときなど、つまり目や口を動かしているときに出やすく、また緊張も関係しています。

原因として、顔面の神経が脳のなかで血管に圧迫されてしまう状況に陥り、神経が興奮してしまう、という場合が最も多いパターンとなります。

治療は顔面神経に対する圧迫を取り除く脳外科手術が、最も根治の可能性が高い方法となりますが、高齢者は特にリスクがあります。そのため最近では勝手に動く筋肉にボツリヌス毒素A製剤を少量注射して麻痺させけいれんを止める方法が主流になりつつあります。この方法ですと、繰り返し投与していく必要があります。

まぶたのピクピクは、脳腫瘍の可能性も!?


レアケースではありますが、脳にできた腫瘍や脳の血管にできた瘤が顔面神経を圧迫して、片側顔面痙攣を引き起こしていることもあります。この場合にも、脳外科で精密検査を受けなければならないでしょう。

ちなみに、ピクピクとしたけいれんとは少し違いますが、突然まぶたに力が入らなくなり、垂れたようになって開かなくなるという症状は、脳動脈瘤によっても起こり得るものです。

目の運動の大部分をつかさどる神経である動眼神経が圧迫され、麻痺してしまうことで起きるもので、急にまぶたが下がり、目の動きも悪くなってしまいます。やがて斜視になったら脳動脈瘤の破裂が迫っている可能性があり、緊急性が高いのです。

眼瞼痙攣、片側顔面痙攣のどちらも、中高年の女性が発症することが多いとされています。けいれんの回数如何によっては、日常生活を送ること自体が困難になってくることもあります。

その場合には適切な治療が必要になってきますので、一度脳の精密検査を受けましょう。いずれも、放置することで自然完治するものではありません。

まとめ

  • 目のまわりがピクピクとけいれんする眼瞼ミオキミア。ストレス、眼精疲労、疲労、栄養不足や睡眠不足によって引き起こされることがありますが、自然に治ります。
  • 眼瞼痙攣は、まぶたを開けていることが辛くなる病気。まぶしい、目が乾くなどの感覚過敏による症状も伴い、他の病気と間違われることも。
  • 片側顔面痙攣やまぶたのけいれんから始まり、頬や口元へとけいれんの幅が広がっていきます。顔面神経の血管による圧迫が多くの原因ですが、腫瘍や血管瘤による圧迫の場合も。

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