レーシックは、コンタクトレンズやメガネを使わずに裸眼でものを見るための手術で、一時期とても話題になりました。“レーシック”は英語ではLASIKと綴り、Laser(-assisted) in Situ Keratomileusisの頭文字の略です。「レーザー照射を本来の場所に収まったままの眼球に施し、角膜を彫り整えること」と訳されます。
エキシマレーザーという種類のレーザー光線で角膜の中央部分を削り、角膜のカーブを変えて、近視などの屈折異常を矯正します。
レーシック手術は、レンズの役割をしている黒目の表面を覆っている角膜という部分を削りますから、たくさん角膜を削らないと度数の出ない強度近視の方には向いていません。

レーシック手術とはどのような治療方法なのか、この治療に向いている方、向いていない方などについて詳しくご紹介します。

レーシックって、どんな治療? 手術の方法は?

レンズの役割を果たす角膜を削り、光の屈折を変えて近視を治す治療のこと

人の目は、目に入ってきた光をレンズの役目を果たす角膜で光の屈折を変化させ、その後、水晶体が厚みを変えてピントを調節します。光を曲げる力は、角膜が2/3を担い、残りの1/3は水晶体が担当しています。
レーシック手術は、レンズの役割を果たす角膜を削って薄くし、入ってきた光の屈折を弱くすることで、近視の矯正をする治療方法です。
具体的には、エキシマレーザーというレーザー光線で角膜の中央部分を削り、角膜のカーブを変えて屈折異常を矯正します。

レーシック手術用の機器:アルコン社のWAVELIGHT® FS200(Alconより)

点眼麻酔のあと、フラップ(ふた)を作成し、フラップをめくった部分にレーザーをあてる

簡単にレーシック手術の手順についてご説明します。
①点眼薬タイプの麻酔をします。
②黒目の表面(角膜)にケラトームという機械をあて、角膜を吸引しながら固定します。
③ケラトームで角膜表面(角膜上皮細胞部分)にフラップ(ふた)を作成し、フラップをめくります。
④フラップをめくった部分(角膜実質部)にエキシマレーザーをあてます。
⑤フラップを元に戻します。
⑥縫合はせず、フラップを自然に接着させます。手術時間は10〜15分程度で痛みはなく、その日のうちに帰宅できます。

手術後1週間程度は、目をこする行為や、
目の周りのメイク、激しいスポーツは避ける

手術後1週間程度は、角膜の状態が不安定なため、気をつけないといけないことがあります。
洗顔や入浴時には、目をこすらないように気をつけ、できればシャワーなども首から下のみ浴びるようにします。メイク(化粧)は、できればアイメイクは避け、まぶたや眼球、目の周りに触れないようにしましょう。
また汗をかくような激しいスポーツは2週間程度控えるようにしてください。

レーシックに向いている方、向いてない方は?

レーシックは、強度近視や激しいスポーツをする方には不向き

向いている方

①近視や遠視で日常生活に不都合があり、メガネやコンタクトレンズは使いたくない方
②ドライアイや美容上の理由からメガネやコンタクトレンズを使いたくない方
③職業上、メガネやコンタクトレンズでは不便を感じられる方
④視力の悪さが要因と考えられる肩こりや眼精疲労を感じられている方

向いていない方

①20歳未満
②40歳以上
③妊娠・授乳中
④強度近視(-6.0以上)である
⑤レーシック手術後、日常的に激しいスポーツをする方
⑥角膜が薄い
⑦角膜形状不正
⑧眼科疾患(白内障、緑内障、網膜剥離、滑膜炎など)がある方
⑨内科疾患(糖尿病、肝炎、膠原病など)がある方

レーシック手術は安全で優れた手術ですが、適応・不適応をしっかり見極めることが大切です。
特に向いていないのは、強度近視の方です。強度近視の方がレーシック手術で度数を出すためには、たくさん角膜を削る必要があり、角膜が薄くなりすぎる危険性があります。強度近視の方は、別の記事でご紹介するICL(有水晶体眼内レンズ)での近視矯正がオススメです。

またボクシングを始めとした激しいスポーツをする方も、レーシックは避けた方がいいかもしれません。手術で作ったフラップがめくれてしまう危険性があるためで、こちらもICLでの近視矯正が推奨されます。
そしてレーシックは40歳以上の方にも向いていないとされています。それはこの頃から老眼が始まることが多く、レーシックにより遠くはよく見えるようになっても、かえって近くのものが見づらくなることがあるためです。レーシックを受けるなら若い頃に検討することをオススメします。

レーシック手術により起こりやすい症状とは?

ドライアイや夜間の視力低下、角膜混濁などが生じることも……

どんな治療方法にもベネフィット(利益)とリスクがありますが、レーシック手術後にはどのような症状が起きる可能性があるのでしょうか。

①レーシック手術を受けることで、夜間の視力が低下したり、車のライトなどがまぶしく感じたりするようになる方がいます。
②ものを見る際にコントラスト(くっきり感)が低下する場合があります。
③フラップ(ふた)を作成するため角膜の知覚神経が切断され、さらには角膜上皮からムチンという成分が分泌されにくくなるために、術後数カ月から1年程度、ドライアイになる方もいます。その後はドライアイの症状は落ち着く場合がほとんどですが、すでにドライアイの症状がある場合には、治療前に医師に相談してください。
④角膜中央部をレーザーで削るため、角膜に混濁(にごり)が生じることがあります。感染症による角膜混濁にも注意が必要です。手術後は、処方された点眼薬をしっかり差すことが大切です。
⑤術後、近視がさらに進むことで度数が変化してしまい、視力が低下してしまうことがあります。

レーシック手術は、リスクについて説明し、適応を見極めてくれる眼科専門医を選ぶ

レーシック手術は、メガネやコンタクトレンズなしで過ごせるという優れた治療法ですが、一度削った角膜を元に戻すことはできませんし、さまざまな副作用などのリスクもあります。ベネフィットばかりでなく、きちんとリスクについて説明し、レーシック手術が向いているか向いていないかという「適応」をしっかり見極めてくれる医師を選ぶことが大切です。

またアフターケアについても、どのような体制で行っているかは重要ですので事前に確認してください。

板谷院長のひとことアドバイス

レーシックはしっかり検査をしていればとても安全な治療ですが、角膜を削りすぎることもあるので注意が必要です。また、白内障手術ではレーシック手術を受けている目は、眼内レンズの度数計算が難しくなります。扱いに慣れた医師のもとで手術を行うことをおすすめします。

まとめ

  • レーシック手術は角膜を削ることで光の屈折を弱め、近視を矯正する治療方法です。
  • 20歳未満、40歳以上、強度近視の方などは向きません(適応外)。
  • 手術を受けることで、ドライアイや夜間の視力低下などの症状が起きることもあります。
  • リスクについて説明し、レーシック手術に向いているかいないかをしっかり見極めてくれる医師の診断を受けることが大切です。

目についてお悩みは、はんがい眼科へどうぞ

執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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