多焦点白内障手術無料セミナー

本記事は、2020年1月27日に再更新いたしました。

最近では、「遠くも近くもメガネなしでよく見える」多焦点眼内レンズにも、優れた製品が続々と登場しています。

特に、日本で認可されていないヨーロッパの多焦点眼内レンズには、先進医療対象の国内認可レンズよりも優れた特徴を持つ眼内レンズがあります。なぜ、ヨーロッパには優れた多焦点眼内レンズが生まれるかと言いますと、中小の企業がより優れた製品の開発にしのぎを削っており、産と学に研究開発をする土壌が育っているためです。なぜ、日本の認可を取らないのでしょうか?EU市場が大きくて十分に利益得られている、高額のコストがかかる治験を日本でする企業がいない、認可を取らなくても人気のある眼内レンズは日本の医師が個人輸入して使ってくれる、などが考えられます。保険診療の単焦点眼内レンズ、先進医療の多焦点眼内レンズ、自由診療の多焦点眼内レンズが並び立ち、少しややこしい状況です。

日本でも、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が知られるようになり、その手術件数も増加しています。老眼の改善のために多焦点眼内レンズを入れるという選択肢をお伝えせずに白内障手術を計画することができない時代になってきました。制度はさておき、患者さん自身に「自分に合った多焦点眼内レンズはどれなのか」を確認していただくためにも、はんがい眼科で扱っている多焦点眼内レンズの個々の製品の特長を、このブログで何回かにわたって紹介していきたいと思います。

今回は、海外の多焦点眼内レンズのなかでいち早く「3焦点」を実現した眼内レンズである「ファインビジョン」について説明します。

「ファインビジョン」は遠くも近くも中間もよく見える3焦点眼内レンズ

ファインビジョンは、ベルギーのPhysIOL社が2011年に発売した眼内レンズです。材質は親水性アクリルで、紫外線をカットする薄い黄色の着色レンズです。眼内レンズを固定するための支持部をダブルCループと呼ばれる二股形状にすることで、レンズの偏位(傾き)を防ぐデザインになっています。

ファインビジョン(PhyIOLより)

光学的な技術を駆使して、水晶体のある若い目に近い生理学的軸方向色収差を実現することで、若き日の肉眼での見え方に近づくように設計されています。PhysIOL社の公式発表では、使用者の97%が、もし次に眼内レンズを選ぶ機会があったとしても、ファインビジョンを選ぶと回答しています。このように、使用者の高い満足度を実現した多焦点眼内レンズとして知られ、日本でもよく選ばれています。

「遠方」「中間」「近方」の3焦点にピントが合う最初のレンズ、今でも大人気

ファインビジョンの最大の特長は「遠方」「中間」「近方」の3つの距離に焦点があることです。国内で初期に用いられていた多焦点眼内レンズは「遠方‐近方」の2焦点の眼内レンズですが、このレンズは手元と3m以上の遠方が良く見える反面、1mほどの中間距離が少し見えづらいという特性がありました。この欠点を補うべく、中間距離にも焦点を作った3焦点を持つ最初の多焦点眼内レンズが「ファインビジョン」です。遠方‐近方と、遠方‐中間の2種類の2焦点眼内レンズの光学デザインを組み合わせることで、3つの焦点を実現しています。これにより、遠くも近くも中間も、メガネを使わずに見ることができます。
【3焦点の見え方画像】

単焦点眼内レンズはピントが合う距離が1つ。多焦点眼内レンズなら複数の距離にピントが合うため、強くぼやける距離がなくなります

日本人の読書距離30cmの視力が良くでるのが嬉しい

通常は、焦点を増やせばそれだけ光学的エネルギーロスが出て、コントラスト感度が低下し、くっきりと見えないなどの不具合が出やすくなります。しかし、ファインビジョンはエネルギーロスが少なめで(およそ14%ほど)、光量の配分も近く30%、中間15%、遠く40%とバランスが良く、中間距離を含めどの距離もクリアに見えるのが特長です。中でも、手元への加入度数が3.5ジオプターと十分に強いため、日本人の読書距離である手元30cmの視力が良好である点が日本人には嬉しいレンズです。欧米人の読書距離は40cmとも言われます。ファインビジョンの成功をみて他にも3焦点眼内レンズは生まれましたが、近方のピークが40cmのものが多いなか、やはりファインビジョンが日本人の多くの方に向いていると考えています。書類を書く仕事や手元で細かい作業をするときにも、老眼鏡のようなメガネにほとんど頼らずに済みます。

乱視がある方では、乱視矯正機能があるトーリックタイプのレンズも選べます。

2019年より、FineVisionにも焦点深度拡張(EDOF)技術を導入し、より中間距離に重点を置いたFineVision Triumf も登場し、患者さんのライフスタイルに応じて選択枝が増えました。

中間距離にも焦点のピークがあるのが特徴です(PhyIOLより)

最新の多焦点レンズのなかではハロー・グレアが出やすい

ややハロー・グレアが出やすい

ファインビジョンのデメリットとしては、ハロー(夜間のライトなどが輪っか状ににじんで見える)、グレア(光が伸びてギラギラしてい見える)がしっかりあることです。従来の2焦点眼内レンズに比べれば同等かややおとなしめです。私の患者さんの中には、ファインビジョンのハロー・グレアを気にされている方は少ないですが、中には気になる方もいます。運送業など長時間夜間運転を行う方は、避けたほうが無難です。

ハロー・グレアの見え方は、慣れれば気にならない方もいます。もし症状が出てもしばらく様子を見てから対処しましょう

強い近視では、対応するレンズがないことも

強い近視がある方では、対応するレンズがないこともあります。

また、これは認可されていない海外の多焦点レンズすべてに共通することですが、注文をしてから届くまでに4~6週間ほどかかります。医療機関にもよりますが、一般には眼内レンズを決めてから手術をするまで、2か月以上の時間をみておくと安心です。

「ファインビジョン」の特徴一覧

名称 ファインビジョン(Fine Vision)
メーカー(生産国) PsyIOL(ベルギー)
焦点数と光学部デザイン 3焦点アポダイズド回折型
ピントの合う距離 遠方、中間、近方
メガネなしでの得意、不得意 ピントが合う距離が多いため、運転をしながらカーナビを見るなど、複数の距離を見るのが得意。仕事でも遠くの人の顔からパソコン画面、手元の書類やスマホまでメガネなしで見える。特に、手元30cmの視力が良く出るため、読書距離が近い日本人には合っている。
ハロー・グレア やや強い
薄暮視(薄暗い場所での視力) 良い
乱視矯正 あり
先進医療 なし(全額、自由診療)

現役世代の白内障治療のほか、老眼改善にも向く

こうした特徴をもつファインビジョンは、仕事をしている現役世代で「遠くから手元まですべての距離をメガネなしで見たい」という方には、最適な眼内レンズの1つです。若い頃には目がよく、老眼鏡などのメガネがわずらわしい、遠近両用のコンタクトレンズを使ってきたという方で、夜間は車の運転を長時間しない方であれば、3焦点のファインビジョンをおすすめします。

ファインビジョンのもう一つのありがたい特徴は、患者さんによる当たり外れが少なく、安定して視力が出ることです。幅広い年齢で使いやすい3焦点眼内レンズと言えます。

はんがい眼科の最近の症例では、50代で編み物が好きという女性がファインビジョンを選択され、「遠くはもちろん、室内も、編み物をする手元もメガネを使わずによく見える」と大感激されていました。自由診療ですから費用は高くなりますが、興味のある方は眼科医に相談をしてみてください。

板谷理事長のひとことアドバイス

ものを見るには、遠く・中間・近くのすべての距離でなめらかに焦点を合わせられることが理想です。3焦点レンズは、この理想に近づいたレンズの一つです。ファインビジョンは、多くの方に安定して遠く・中間・近くの良好な視力がでる使いやすい3焦点眼内レンズです。

まとめ

  • 「ファインビジョン」は、遠方、中間、近方の3つの距離すべてにピントが合います。
  • 遠くと近くだけでなく、従来の2焦点眼内レンズで見えにくかった中間距離も、メガネなしでよく見えるのが特長です。
  • ハロー・グレアがやや出やすいため、長時間の夜間運転には向きません。強い近視の場合は対応するレンズがないことがあります。

執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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