多焦点白内障手術無料セミナー

本記事は、2020年1月27日に再更新いたしました。

ここ数年、せっかく白内障手術をするのであれば、「高機能の多焦点眼内レンズを検討したい」という方が増えてきています。その方の生活や希望に合った多焦点眼内レンズを選んだ結果、「こんなによく見えると思わなかった」「若い頃の視力に近く、気分まで若返った」と喜んでくださる患者さんが多数います。

とはいえ、多焦点眼内レンズにも弱点はあります。代表的なものは、夜間のライトなどがにじんでみえる「ハロー」や、光が広がってギラギラして見える「グレア」、光が放射状に伸びる「スターバースト」などです。多焦点眼内レンズは、光を複数の焦点に分散するためにレンズ表面に円状の小さな溝が作られており、そこに光が反射してこうした現象が起こるのです。

特に注意が必要なのは、夜間の車の運転です。街灯や対向車のライトがハロー・グレアでまぶしくて見えないとなると運転の安全性に不安が生じますから、タクシーや長距離トラックの運転手など日常的に夜間運転をする方には多焦点眼内レンズをすすめられない、というのが以前の定説でした。

しかし、このハロー・グレア・スターバーストを減らす努力が進み、ついに2016年にはハロー・グレア・スターバーストをほとんど生じない多焦点眼内レンズが開発されました。それが、今回紹介する「ミニウェル・レディ」です。遠くから、生活のなかでよく使う中間距離の視力に優れていて、夜間の運転をする方にも向く最新の多焦点眼内レンズです。詳しい性能や特長について、以下に説明しましょう。

世界で唯一球面収差を利用してEDOF機能を実現した眼内レンズ「ミニウェル・レディ」

ミニウェル・レディは、イタリアのSIFI MedTech社が開発した多焦点眼内レンズです。材質は親水性‐疎水性のコポリマー、レンズの両面がわずかに膨らんだ形の透明レンズです。レンズ面を支える支持部(足)が4点あることで、レンズの安定性を高めています。

ミニウェル・レディ(SIFI MedTechより)

遠くから中間距離まで連続してよく見える

ミニウェル・レディは、プログレッシブ(累進焦点)眼内レンズと呼ばれており、球面収差を利用して焦点深度を広げています。焦点深度拡張型(EDOF=Expanded Depth of Field)眼内レンズの1つです。EDOFとは、文字通り遠くから中間まで連続してはっきり見える状態のことで、最近のカメラやスマートフォンのレンズにもEDOF技術が採用されています。最近の多焦点眼内レンズにはこのEDOF効果を重視するものが増えています。ミニウェル・レディは、球面収差を利用してEDOF効果を得ている唯一の眼内レンズです。この方式では、回折溝が無いため、ハロー・グレア・スターバーストが無いことやコントラストの高い自然な見え方が実現できるのです。

ハロー・グレアがほとんどなく、夜間視力も良好

ミニウェル・レディの最大のメリットは、多焦点眼内レンズの宿命といわれたハロー・グレアがほとんどないことです。夜間の光も、人の水晶体に近い見え方になるので、夜に運転をする時でも快適な見え方が期待できます。

ミニウェル・レディの夜間の見え方をシミュレーションした画像。ほとんどハロー・グレアがありません(SIFI MedTechより)

3焦点眼内レンズに比べると近方の見え方がやや弱い

ごく近い手元は、ぼやけて見える

一方、ミニウェル・レディの欠点を挙げるとすれば、3焦点眼内レンズに比べると、手元の見え方がやや弱いことです。近方でピントが合うのは平均50cmほどですが、瞳の大きさに影響され、瞳が大きい人は手元30cmも視力が良好です。高齢になると徐々に瞳が小さくなります。このため40代のように比較的若い方に合っていると言えます。一般的には、読書をする、編み物など手元の作業をするというときは、老眼鏡など近見メガネを使用する必要があります。

ミニウェル・レディの見え方は、距離による視力の落ち込みがなだらかな点が特徴。そのかわり、手元に近くなるほどぼやけてしまうのがデメリット(SIFI MedTechより)

水晶体の袋の収縮に弱い

ミニウェル・レディは、眼内レンズを支える支持部が弱い印象があり、術後に水晶体の袋が収縮すると前方に移動して近視化したり、逆に後方に移動して遠視化することもあります。このため、水晶体の袋の収縮から眼内レンズを守るために水晶体囊拡張リングを用いることが必須と思います。

またミニウェル・レディは日本未承認のレンズとなるので先進医療が適用されません。治療や検査、手術にかかる費用は全て自由診療になります。ミニウェル・レディは、ヨーロッパからレンズを取り寄せます。日本に到着するまで4~6週間ほど時間がかかるので、スケジュールには余裕をもって治療を進める必要があります。

「ミニウェル・レディ」の特徴一覧

名称 ミニウェル・レディ(Mini Well Ready)
メーカー(生産国) SIFI MedTech(イタリア)
焦点数と光学部デザイン 累進焦点EDOF型
ピントの合う距離 遠方、中間距離
メガネなしでの得意、不得意 遠方から中間距離まで連続してクリアに見えるのが特長。コントラスト感度も良く、ゴルフ、テニス等のスポーツにも最適。また夜間にライト等をまぶしく感じるハロー・グレアがほとんどないため、時間を問わず、車の運転には非常に適している。40cm以内の近方はぼやけるので、近距離での読書などはやや不向き。
ハロー・グレア ほとんどない
薄暮視(薄暗い場所での視力) 非常に良い
乱視矯正 あり
先進医療 なし(全額、自由診療)

夜間に運転をする方や、球技などのスポーツを楽しみたい方に最適

ミニウェル・レディは、ごく近い距離の見え方こそ劣りますが、それ以外の距離はどこを見ても人の目の水晶体に近い、とてもよい視力が得られます。ミニウェル・レディを、現在の多焦点眼内レンズのなかでは最高水準の眼内レンズの一つ、と考える眼科医も多いようです。

特に、長距離トラックの運転手や夜間によく運転をする方では、ハロー・グレアがないというミニウェル・レディの恩恵を最大限に生かせると思います。

またテニスやゴルフといったスポーツでは、自分がヒットするポイントから、遠くに飛んでいくボールがずっとクリアに見えます。これも焦点深度が広く、遠方から中間距離まで連続してクリアに見えるミニウェル・レディならではの利点でしょう。

もちろん運転やスポーツに限らず、たとえば営業の仕事をしている方であれば、初めて行く訪問先のビルの看板から、向かい合った相手の顔やデスク上の書類まで、メガネなしで見ることができます。

そのほかに、片目だけ白内障が進んで眼内レンズを入れたいといったケースでも、人の目の見え方に近いミニウェル・レディは利用価値が高いといえます。

板谷理事長のひとことアドバイス

ミニウェル・レディはハロー・グレア・スターバーストなどの副症状が乏しく、コントラストの高い見え方を得られるため、はまると最高のレンズです。しかし、瞳孔が小さめの方、水晶体の袋を支えているチン小帯が弱い方はうまくいかないことがあります。高齢者というよりも40代、50代の若い方に向いているレンズと考えます。

まとめ

  • 「ミニウェル・レディ」は、球面収差を利用して焦点深度を拡張した(EDOF化した)世界で唯一の多焦点眼内レンズです。遠方から中間距離まで、広い範囲が連続してクリアに見えます。
  • 夜間に光をまぶしく感じるハロー・グレア・スターバーストがほとんどなく、夜間に車を運転する方でも使用できます。
  • 手元の見え方は瞳孔径によりが大きいほど良好で、比較的若い方は手元がよく見えます。

執筆者プロフィール

医療法人クラルス はんがい眼科 理事長 板谷正紀

京都大学眼科で網膜と緑内障の研究と臨床に従事。白内障手術、緑内障手術、硝子体手術などを駆使する術者として技術練磨に勤む。埼玉医大眼科教授、日本眼科手術学会総会長、埼玉県眼科医会理事、埼玉腎・アイバンク専務理事などを歴任。

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